「参政党」をSNS選挙で圧勝させたのは「れいわ新選組」の元広報戦略担当者だった！

河野嘉誠（ジャーナリスト/ジャーナリスト）

■参政党の広報戦略を支えた“謎の立役者”の正体

今年7月の参院選で一挙に14議席を獲得し大躍進した参政党。比例代表でも自民党、国民民主党に次ぐ、742万票を得た。反ワクチンや排外主義的な言説で「キワモノ」と見られていた政党が、なぜこれほど票を伸ばしたのか。

背景として指摘されているのが、ネット戦略の巧みさだ。

日経新聞の調査によれば、「日本人ファースト」というキャッチフレーズを掲げた6月以降、参政党に言及したX（旧Twitter）の投稿は急増し、7月には自民党を超え、全政党で1位になったという。

ネット上の動画を巡っても、他を圧倒した。「選挙ドットコム」の調査によれば、参院選期間中の関連動画の再生回数は、参政党が約9億3952万回とトップだった。動画投稿アプリ「TikTok」でも、参政党が887.1万回と独走。れいわ新選組が672.7万回、国民民主党が366.9万回と続いた。

SNS上で圧倒的な強さを誇った参政党。実はその広報戦略を支えた“立役者”がいる。れいわ新選組で、かつて事務局次長をしていたA氏だ。

「A氏は、早い段階からネット動画に注力していた、れいわ新選組で広報戦略業務に従事していました。しかし、その後、神谷宗幣代表に請われ、参政党のスタッフになった。関係者の間では、Aさんがれいわ仕込みのネット戦略を持ち込んだことが、参政党の躍進に大きく貢献したと言われています」（参政党関係者）

リベラル色の強い、れいわ新選組と、保守色の強い参政党はまさに“水と油”。そんな2つの政党を渡り歩くA氏とは、一体どのような人物なのか―。

■テレビ業界で放送作家を務めていた

複数の関係者によれば、50代のA氏はテレビ業界で放送作家を務めた後、れいわ新選組の事務局次長に就任。結党してすぐの’19年参院選以降、主に映像分野で精力的な動きを見せてきたという。

事情を知るれいわ関係者が明かす。

「Aさんはもともと政治畑の人間ではなく、テレビマンです。映像の腕を見込まれて、れいわ事務局にスカウトされたと聞いています。普段は穏やかだけど、ものづくりにこだわりがあり、頑固な面もある。

街宣活動のYouTube中継やアーカイブ化、政見放送の録画録りをはじめ、映像分野全般を担当していたほか、ボランティアスタッフや支持者向けのネット上のコミュニケーションプラットフォーム『れいわ地下2階』の運営もしていました」（れいわ関係者）

A氏は’20年にれいわ新撰組の公式YouTubeで公開された動画シリーズ『仁義なき都構想』で監督を務めたり、’21年にラジオ風トーク番組『オールれいわにっぽん』で、“トニー松岡”と名乗り、同党の山本太郎代表の聞き役を務めるなど、代表の側近として、れいわの広報戦略の中枢を担っていたという。

「Aさんは、山本太郎代表の記者会見や、選挙の時には開票センターにおける会見の仕切りなどもしていた。またれいわの街宣活動の演出的な部分も担当していました。

れいわの凱旋では、音楽フェスのようにステージを組んで、山本代表がスピーチするでしょう。参院選における参政党の街宣活動も、よく似ていますよね」（同前）

■A氏本人を電話で直撃した！

そんなA氏だったが、数年前に、れいわ新選組から離れたという。前出のれいわ関係者は「背景に山本代表との確執があったという人もいますが、詳細はわかりません」と振り返る。

一時テレビ業界に復帰していたというA氏だが、やがて参政党の神谷代表と出会い、再び政治の世界に戻ったという。

実際、筆者が入手した’24年12月時点の参政党の組織図にも、「広報本部長」としてA氏の名前が確かにあった。さらに、参政党の政党ポスターの掲示責任者としても、やはりA氏の名前が記載されていた。

「最近は、参政党の記者会見の仕切りなども行っており、いまや“神谷側近”の一人です」（前出・参政党関係者）

“山本側近”から“神谷側近”に急旋回したA氏本人を、電話で直撃した。

―参政党の躍進の背景に、れいわから移籍したAさんの存在があると言われているが？

「いえいえ、そんなことないですよ（笑）」

穏やかな口調で、謙遜するA氏に、筆者はさらに質問をぶつけた。（以下ソース）

2025.09.01
https://gendai.media/articles/-/157055