1万円以下の中古PCがよみがえる！そう、Linuxならね

　動作が遅くて最新のWindowsにアップグレードする気になれない非力なPCや、サポートが切れたWindows 7 PCでも、動作の軽いLinuxディストリビューション（以下、軽量ディストリ）をインストールすることで、ずっと使い続けることができます。本特集では、中古価格1万円以下のノートPCを手に入れ、軽量ディストリをインストールする方法をまとめて紹介し、実際に快適に使えるかどうかを検証します。

　「軽量ディストリ」とは、動作に必要なリソースの要件が低く、非力なPCでも快適に動作するLinuxディストリビューションのことです。「Linuxディストリビューション」は、「Linuxカーネル」という中核ソフトにユーザーインタフェースを構成する「デスクトップ環境」や、コマンド、アプリケーション、サービスといった「ユーザーランドソフト」を組み合わせ、PCにインストールできるようにしたものです。ソフトウエアの組み合わせにより、数多くのディストリビューションが生み出されています。現在メンテナンスされているものだけで250種類あると言われています＊1。
＊1　2021年1月現在、「https://distrowatch.com/」調べ。

　「Linuxなら旧型のPCでも快適に動作する」と言われていますが、Linuxディストリビューションによっては、Windows OSの動作に必要なスペックと同等のPCでないと、快適に使えないものもあります。例えば、使いやすさに定評があり多くのユーザーに支持されている「Ubuntu」は、2GHz以上のCPUと4Gバイト以上のメモリーを推奨しています。

　動作の軽いソフトウエアで構成された軽量ディストリは、見た目の派手さを抑えて動作が重くならないようにしているデスクトップ環境を採用し、プリインストールソフトにも動作が軽いものを採用しています。例えば、Ubuntuをベースに軽量デスクトップ環境の「LXQt」を採用したLinuxディストリビューションの「Lubuntu」は、軽量化によりインストール直後のメモリー使用量は、わずか360Mバイトに抑えられています。無駄なデスクトップの装飾や演出効果を排除しているため、作業に集中できる環境として選択するには最適です。

　軽量ディストリの選定を誤ると、軽快さが得られないどころか、かえって動作が重くなります。また、期待した操作性が得られないと、Linuxに対する期待が失望に変わることになりかねません。このため、ディストリビューション選びが重要になります。

　軽量ディストリは数多く開発されていて、それぞれに特徴を持っています。今回は、趣向別に人気のある5種類の軽量ディストリを取り上げ検証します。それぞれの特徴を表1にまとめました。

　最初に紹介するのはUbuntuをベースに開発されている「Lubuntu」です。Ubuntuベースなので大量にあるUbuntu用パッケージを利用でき、それらのインストール方法もUbuntuと共通です。Ubuntuの開発を支援している英Canonical社が正式にサポートしている「Ubuntuフレーバー」の一つです。このため、安定性や将来性の面で安心して使用できます。Ubuntuフレーバー＊2は2021年1月現在、7種類が開発されていますが、中でも最軽量なのがLubuntuになります。
＊2　https://ubuntu.com/download/flavours

　次に紹介するのは、Windowsに近い操作性や見た目が特徴の「Q4OS」と「Zorin OS Lite」です。Windowsに慣れ親しんだユーザーが違和感なく使用できるよう、デスクトップ環境が工夫されています。特にWindows 95やWindows 7といったクラシックなWindows OSからの移行に最適な軽量ディストリです。Q4OSとZorin OS Liteは、Windowsライクと言う点では共通していますが、ベースになっているLinuxやウィンドウマネジャーは異なります。こうした違いが体感的な快適さにどう影響するかを検証します。

　最後に、個性的な見た目や機能を備えた「Bodhi Linux」と「Puppy Linux」を紹介します。人と同じものを使いたくないユーザーや、汎用なLinuxに飽きたユーザーに適しています。

1万円以下の中古PCがよみがえる！そう、Linuxならね
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01997/032500001/